任意整理の対象にできる借金・できない借金とは?

借金の返済が難しくなったとき、「自分が抱えている借金は任意整理できるのだろうか」と疑問に感じることがあります。

任意整理では、すべての借金を必ず整理しなければならないわけではありません。どの借金について話し合いをするのかを検討することができます。

一方で、税金などの公的な支払いは、一般的な借金とは扱いが異なります。また、住宅ローンや自動車ローン、保証人がいる借金などは、任意整理の対象にすることで別の問題が生じることがあります。

そのため、「この種類の借金なら必ず任意整理できる」「この借金なら絶対にできない」と単純に考えるのではなく、借入先や契約内容、保証人の有無などを確認することが大切です。

この記事では、任意整理の対象として検討されることが多い借金と、注意が必要な借金について整理し、自分の借金を確認するときのポイントを解説します。

任意整理の対象になるかどうかは、借金の種類だけでは決まらない

任意整理は、裁判所が一律に借金を整理する手続きではありません。

債権者との話し合いによって、今後の返済について合意を目指す方法です。

そのため、任意整理の対象にできるかどうかを考えるときには、借金の種類だけではなく、

・誰から借りているのか
・いくら借りているのか
・現在どのような返済状況なのか
・保証人や連帯保証人がいるのか
・その借金を整理すると生活にどのような影響があるのか

などを確認する必要があります。

また、任意整理は債権者の合意が必要になるため、対象にしたいと考えた借金について、必ず希望どおりの条件で合意できるとは限りません。

任意整理の対象として検討されることが多い借金

任意整理では、主に金融機関や貸金業者、クレジット会社などからの借金について、返済条件の見直しを話し合います。

代表的なものには、次のような借金があります。

消費者金融からの借金

消費者金融からの借入れは、任意整理の対象として検討されることがあります。

複数の消費者金融から借入れがある場合には、借入先ごとの残高や毎月の返済額を整理しておきましょう。

銀行カードローン

銀行のカードローンも、任意整理の対象として検討されることがあります。

ただし、銀行からの借入れについては、預金口座や保証会社などとの関係を確認する必要がある場合があります。

そのため、「銀行カードローンだから問題なく任意整理できる」と決めつけず、具体的な契約内容を確認することが大切です。

クレジットカードの利用残高

クレジットカードの利用代金についても、任意整理の対象として検討されることがあります。

ショッピング利用だけでなく、キャッシング利用がある場合には、それぞれの残高を確認しておきましょう。

ただし、クレジットカードを任意整理の対象にすると、そのカードを今後利用できなくなる可能性があります。

信用情報への影響については、別の記事で詳しく解説します。

その他の借入れ

個人からの借入れなど、金融機関以外からの借金についても、債権者との話し合いによって返済条件を調整することを検討できる場合があります。

ただし、債権者との関係や契約内容によって対応が異なるため、借入先だけを見て判断することはできません。

住宅ローンも任意整理の対象にできる?

住宅ローンについても、任意整理そのものを検討することはできます。

ただし、住宅ローンを任意整理の対象にする場合には、住宅を維持できるかどうかなど、重要な問題があります。

また、住宅ローン以外の借金だけを任意整理するという考え方もあります。

持ち家や住宅ローンがある場合は、「任意整理できるか」だけではなく、「どの借金を対象にするのがよいか」という視点で考えることが重要です。

住宅ローンと持ち家については、こちらの記事で詳しく解説します。

→「任意整理で持ち家はどうなる?住宅ローンが残っている場合も解説」

自動車ローンは任意整理の対象にできる?

自動車ローンについても、任意整理の対象として検討することはできます。

ただし、自動車ローンには、ローン会社などが車の所有権を留保している契約があります。

このような契約では、自動車ローンを任意整理の対象にすることで、車を手元に残せなくなる可能性があるため注意が必要です。

車を利用している人は、単純に「車のローンも任意整理すれば返済が楽になる」と考えるのではなく、契約内容や車が生活・仕事に必要かどうかなども含めて確認しましょう。

自動車ローンと車への影響については、こちらの記事で詳しく解説します。

→「任意整理をすると車はどうなる?ローンが残っている場合も解説」

奨学金は任意整理の対象にできる?

奨学金については、借入れの仕組みや保証制度などを確認する必要があります。

特に、保証人や連帯保証人が設定されている場合には、本人の返済だけを考えればよいとは限りません。

任意整理の対象にすることで、保証人などに請求が及ぶ可能性があるため、保証人がいる場合は事前に確認することが重要です。

日本学生支援機構の奨学金などについては、利用している保証制度や契約内容によって確認すべき点が異なります。

奨学金がある場合には、「任意整理できるか」だけではなく、「任意整理をした場合に保証人などへどのような影響があるか」という点も確認しましょう。

税金や社会保険料は任意整理できる?

税金や社会保険料などの公的な支払いは、一般的な金融機関からの借金とは扱いが異なります。

そのため、消費者金融やカードローンなどと同じように、任意整理によって返済条件を変更するものとして考えることはできません。

税金を滞納している場合には、税務署や自治体など、それぞれの窓口に相談する必要があります。

例えば国税については、一定の条件を満たす場合に納税の猶予や換価の猶予が認められる制度があります。

借金だけでなく税金などの支払いも滞っている場合は、任意整理だけで問題を解決しようとせず、それぞれの支払いについて適切な相談先を確認しましょう。

保証人・連帯保証人がいる借金は注意が必要

保証人や連帯保証人がいる借金を任意整理する場合には、特に注意が必要です。

本人について返済条件を変更する話し合いをしても、保証人などとの関係まで自動的に解決するわけではありません。

場合によっては、保証人や連帯保証人に支払いを求められることがあります。

そのため、保証人がいる借金について任意整理を検討する場合は、本人の返済だけでなく、保証人への影響も含めて確認することが重要です。

保証人・連帯保証人については、こちらの記事で詳しく解説します。

→「任意整理すると保証人・連帯保証人はどうなる?」

任意整理の対象にする借金と、対象にしない借金を分けることもある

任意整理では、すべての借金をまとめて対象にするとは限りません。

例えば、複数の借入先がある場合に、

「この借金は任意整理の対象にする」
「この借金は今までどおり返済する」

というように、借入先ごとに分けて考えることがあります。

ただし、どの借金を対象にするかによって、家族、保証人、住宅、車などへの影響が変わる可能性があります。

そのため、「対象にできる借金をすべて任意整理する」という考え方ではなく、自分の生活状況や今後の返済を踏まえて検討することが大切です。

任意整理の対象にするか迷ったときに確認したいこと

自分の借金について任意整理を検討するときは、まず借入先ごとに情報を整理してみましょう。

1. 借入先はどこか

消費者金融、銀行、クレジット会社、個人など、誰から借りているのかを確認します。

2. 現在の残高はいくらか

借入先ごとに現在の残高を確認します。

複数の借金がある場合は、一覧表にしておくと分かりやすくなります。

3. 毎月いくら返済しているか

現在の毎月の返済額を確認します。

借金の総額だけではなく、毎月の返済負担を把握することが重要です。

4. 保証人・連帯保証人がいるか

保証人や連帯保証人がいる場合は、その人への影響も確認します。

5. 住宅ローンや自動車ローンが残っているか

住宅や車を所有している場合は、それぞれのローン残高と契約内容を確認します。

6. すでに延滞している借金があるか

延滞している借金がある場合には、現在どのような状態になっているのかを確認する必要があります。

7. 税金や社会保険料などの滞納がないか

税金などの公的な支払いが滞っている場合は、任意整理とは別に対応を考える必要があります。

「任意整理できるか」だけでなく「任意整理した後」を考える

任意整理の対象になるかどうかを考えるときは、対象にできるかどうかだけを見ないことが大切です。

例えば、クレジットカードを対象にすれば、その後のカード利用について考える必要があります。

車のローンを対象にする場合は、車を手元に残せるかどうかを確認する必要があります。

保証人がいる借金なら、保証人への影響を考えなければなりません。

つまり、任意整理では、

「この借金は対象にできるか」

だけではなく、

「この借金を対象にしたら、その後の生活に何が起こるか」

まで考える必要があります。

任意整理の対象について専門家に相談するときに伝えること

自分の借金が任意整理の対象になるのか判断が難しい場合は、弁護士や認定司法書士などの専門家に相談する方法があります。

相談するときには、次のような情報を整理しておくと、自分の状況を伝えやすくなります。

・借入先の名称
・現在の借金残高
・毎月の返済額
・借入れを始めた時期
・延滞の有無
・保証人・連帯保証人の有無
・住宅ローンの有無
・自動車ローンの有無
・税金などの滞納状況
・毎月の収入と生活費

これらを整理したうえで、任意整理だけでなく、個人再生や自己破産なども含めて自分の状況に合った方法を確認することが大切です。

まとめ

任意整理では、消費者金融、銀行カードローン、クレジットカードの利用残高など、さまざまな借金について返済条件の見直しを検討できます。

一方で、住宅ローン、自動車ローン、奨学金、保証人がいる借金などは、任意整理をすることで別の問題が生じる可能性があるため、個別に確認することが重要です。

また、税金や社会保険料などの公的な支払いは、一般的な借金とは扱いが異なります。

任意整理を検討するときは、「対象にできるか」だけで判断するのではなく、「どの借金を対象にするのか」「対象にした後の生活にどのような影響があるのか」まで考えておきましょう。

まずは借入先ごとの残高や返済額、保証人の有無、住宅ローンや自動車ローンの状況などを整理することから始めてみてください。

任意整理の仕組みや手続き、費用、メリット・デメリットなどについてさらに詳しく知りたい場合は、「任意整理とは?仕組み・手続き・費用・注意点をわかりやすく解説」もご覧ください。