借金の返済が苦しくなったとき、任意整理を検討する人もいるでしょう。
任意整理には、自己破産や個人再生とは異なる特徴があります。一方で、債権者との合意が必要になることや、信用情報への影響など、事前に知っておきたい注意点もあります。
「任意整理をすると何が変わるのか」「自分にとってメリットがあるのか」「後から困ることはないのか」といった疑問を持ったまま手続きを進めるのではなく、メリットとデメリットの両方を確認しておくことが大切です。
この記事では、任意整理の主なメリット・デメリットと、検討するときに確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
任意整理の主なメリット
任意整理には、借金問題を整理するうえでいくつかの特徴があります。
ただし、実際にどのような結果になるかは、借入先や借金の内容、収入、家計などによって異なります。
裁判所を利用せずに進める方法である
任意整理は、自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を利用する手続きではありません。
債権者との話し合いによって、今後の返済について合意を目指します。
そのため、裁判所を利用する手続きとは進め方が異なります。
財産を手放さずに進められる場合がある
任意整理では、自己破産のように財産を処分して借金を整理する仕組みではありません。
そのため、持ち家や車などの財産がある場合でも、任意整理を検討できるケースがあります。
ただし、住宅ローンや自動車ローンなど、対象となる借金の内容によって確認すべき点は異なります。
財産を残せるかどうかだけで判断するのではなく、どの借金を整理するのかを含めて考えることが大切です。
自分の状況に合わせて整理する借金を考えられる
任意整理では、すべての借金を一律に整理するとは限りません。
どの借入先について任意整理を検討するのかによって、家族や保証人、住宅ローン、車などへの影響も変わってくる場合があります。
そのため、自分の生活状況を踏まえて整理する借金を検討できることは、任意整理の特徴の一つです。
自己破産のような一定の資格・職業等の制限を受ける手続きではない
任意整理は、自己破産とは異なり、自己破産に伴う一定の資格・職業等の制限を受ける手続きではありません。
仕事への影響が気になる場合には、任意整理と自己破産の違いを確認しておくとよいでしょう。
ただし、個別の資格や職業について別のルールが存在する場合もあるため、仕事への影響を考える際には具体的な資格・職業ごとの確認が必要です。
任意整理の主なデメリット
任意整理にはメリットだけでなく、検討する前に知っておきたいデメリットがあります。
特に重要なのが、債権者との合意が必要になることと、合意後も返済を続ける必要があることです。
債権者との合意が必要になる
任意整理は、裁判所が返済条件を決める手続きではありません。
債権者との話し合いによって、返済条件について合意を目指します。
そのため、任意整理を希望すれば必ず希望どおりの条件で合意できるとは限りません。
借入先や取引の状況などによって、話し合いの結果が異なることがあります。
合意後も返済を続ける必要がある
任意整理は、原則として借金をすべて免除する手続きではありません。
債権者との合意が成立した場合には、その内容に従って返済を続けることになります。
そのため、任意整理を検討するときは、「借金がいくら減るか」だけではなく、「合意後の返済を続けられるか」を考えることが重要です。
現在の収入や生活費を確認し、毎月どの程度なら返済に充てられるのかを整理しておきましょう。
信用情報への影響がある
任意整理をすると、信用情報に関係する情報が登録されることがあります。
その影響により、一定期間、借入れやクレジットカードの作成などが難しくなる場合があります。
「任意整理をしたら生活がすべてできなくなる」という意味ではありませんが、クレジットカードやローンなどを利用する予定がある場合には、事前に影響を確認しておくことが大切です。
信用情報について詳しく知りたい場合は、別の記事で詳しく解説します。
任意整理をすれば必ず借金が大きく減るわけではない
任意整理について、「借金が大幅に減る方法」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、任意整理では、債権者との話し合いによって返済条件の調整を目指します。
そのため、誰でも同じように借金が減るわけではありません。
どのような条件で合意できるのかは、借入先や取引の状況などによって異なります。
また、任意整理をした後も返済を続ける必要があるため、合意後の返済が可能かどうかを考えることが重要です。
「任意整理をすれば毎月の返済が必ず○万円になる」といった一律の考え方はできません。
任意整理をすると家や車を必ず手放すことになるわけではない
任意整理を検討するとき、「家や車を失ってしまうのではないか」と心配する人もいるでしょう。
任意整理は、自己破産とは異なり、財産を処分して借金を整理する手続きではありません。
ただし、住宅ローンや自動車ローンが残っている場合には、債権者との関係やローン契約などについて個別に確認する必要があります。
持ち家や車がある場合は、「任意整理なら大丈夫」と単純に判断するのではなく、自分のローンや借入先の状況を整理してから検討しましょう。
任意整理を検討するときに確認したい5つのポイント
任意整理のメリット・デメリットを知ったら、次に自分の状況を整理してみましょう。
1. 現在の借金はいくらあるか
まず、借入先ごとに現在の借金残高を確認します。
複数の借入先がある場合は、それぞれの残高を一覧にしておくと整理しやすくなります。
2. 毎月いくら返済しているか
現在の返済額を確認します。
借金の総額だけではなく、毎月の返済額を把握することが重要です。
3. 毎月の収入と生活費はいくらか
任意整理後も返済を続けることを考えると、現在の収入と生活費を確認する必要があります。
毎月いくらなら無理なく返済に回せるのかを考えてみましょう。
4. 住宅ローン・車・保証人などがあるか
持ち家、住宅ローン、車、自動車ローン、保証人・連帯保証人などがある場合は、任意整理との関係を個別に確認する必要があります。
5. 今後も返済を続けられる見込みがあるか
任意整理では、合意後の返済を続けることが基本になります。
そのため、現在だけでなく、今後の収入や支出も含めて考えることが大切です。
任意整理のメリット・デメリットを比較するときの注意点
任意整理を検討するときは、メリットだけ、またはデメリットだけを見るのではなく、自分の状況に当てはめて考えることが重要です。
例えば、
「自己破産は避けたいから任意整理にする」
という理由だけで決めるのではなく、
「任意整理後の返済を続けられるか」
「どの借金を整理する必要があるか」
「家や車をどうしたいか」
「保証人への影響はないか」
「信用情報への影響をどう考えるか」
などを一つずつ確認していきましょう。
また、任意整理だけでなく、個人再生や自己破産、特定調停などにもそれぞれ特徴があります。
どの方法が適しているかは、借金の額だけでなく、収入、財産、生活状況などによっても変わります。
任意整理について、さらに詳しく知りたい場合
任意整理のメリット・デメリットを確認したら、自分に関係するテーマをさらに詳しく調べてみましょう。
→「任意整理の手続きの流れをわかりやすく解説」
→「任意整理の費用はいくら?弁護士・司法書士に依頼する場合を解説」
→「任意整理をすると信用情報はどうなる?登録される情報と影響を解説」
→「任意整理後のクレジットカードはどうなる?利用・申込み・更新を解説」
→「任意整理後にローンは組める?審査への影響と注意点を解説」
→「任意整理で持ち家はどうなる?住宅ローンが残っている場合も解説」
→「任意整理をすると車はどうなる?ローンが残っている場合も解説」
→「任意整理すると保証人・連帯保証人はどうなる?」
まとめ
任意整理には、裁判所を利用せずに債権者との話し合いによって返済条件の調整を目指せることや、自己破産とは異なる形で借金問題を整理できることなどの特徴があります。
一方で、債権者との合意が必要であり、合意後も返済を続ける必要があります。また、信用情報への影響についても確認しておく必要があります。
任意整理を検討するときは、「メリットがあるから任意整理をする」「デメリットがあるから任意整理をしない」と単純に決めるのではなく、自分の借金、収入、生活費、財産などを整理して、自分に関係するポイントを一つずつ確認することが大切です。
任意整理についてさらに詳しく調べる場合は、手続き、費用、信用情報、家族、仕事、住宅ローン、車、保証人など、気になるテーマから確認してみましょう。
任意整理の仕組みや手続き、費用、注意点をまとめて確認したい場合は、「任意整理とは?仕組み・手続き・費用・注意点をわかりやすく解説」もご覧ください。